医療救護
2.災害医療救護とは

 まず、災害時の医療・救護の特徴について見てみましょう。
 すでに述べたように、大規模災害では、多数の死傷者が発生します。一方、医療機関でも、施設の被害や職員の被災、交通機関やライフラインの停止などによって、その機能低下が予想されます。災害医療活動は、このように人員や資機材、医薬品などが限られる中で、できるだけ多くの患者に効果的な処置を施すことが目標になります。そのため、患者の治療を始める前に、その状態に基づいて治療や搬送の優先順位を判断し選別します。これを「トリアージ」と呼んでいます。
 また、災害時の医療活動では、対応すべき課題が時間の経過とともに変化することも特徴的です。発災当初は、負傷者に対する外科的治療が中心となります。それが一段落すると、被災者の間に広がる風邪や疲労、ストレスなどに対し、巡回健康相談やメンタルケア対策という対応が必要となります。

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