消防庁の組織および所掌業務

予防課

火災予防の普及・推進

1 住宅防火対策の推進

住宅火災による死者数※は、例年火災による死者数※の8割前後を占めています。また、住宅火災による死者については、逃げ遅れによる死者が多いこと及び概ね7割程度を高齢者が占めていることという特徴があります。  高齢者や逃げ遅れによる住宅火災の死者を減らすためには、火災の発生を早く知ることが重要であるため、火災を早期に感知し警報音を発する、住宅用火災警報器の設置が住宅で義務化されました。  消防庁では、火災予防運動等の機会を通じ、消防本部、消防団、女性(婦人)防火クラブ及び自主防災組織等と協力して住宅用火災警報器の設置を促進するとともに、点検や電池の交換、本体の取り替えを含む維持管理の必要性の周知を図っており、特に、各世帯の住宅の構造や世帯構成に応じて、火災をより早期に感知できる連動型住宅用火災警報器の設置を推奨しています。  また、あわせて初期消火に有効な住宅用消火器等の普及促進を実施し、住宅防火対策を推進しています。 ※ 放火自殺者を除く。

2 放火火災予防対策の推進

 毎年出火原因の上位となる放火火災の減少を図るために、地域全体で「放火されない環境づくり」に向けて放火火災防止対策戦略プランの積極的な活用を推進しています。また、量販店等の放火火災防止対策として放火監視センサーを用いた放火監視機器に係る技術上のガイドラインを策定し放火火災防止対策の選択肢として推進しています。

3 防炎規制と防炎品の普及促進

不特定多数の人が出入りする防火対象物(高層建築物、地下街、又は劇場、ホテル等)では、火災が発生した場合に人命危険に発展する可能性を十分有していることから、消防法第8条の3では、これらの防火対象物について一定の防炎性能を有する物品(カーテン、じゅうたん等の防炎物品)の使用を義務付けています。

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【図1 防炎表示】

 近年の死者が発生した住宅火災における着火物の状況をみると、衣類、寝具類やカーテン等に着火したことが原因となっているものが多く、65歳以上の高齢者では、その割合が更に大きくなります。今後、本格的な高齢社会を迎え、着衣着火等による犠牲者の増大が危惧されることから、衣類、寝具類等に防炎製品を使用することが、住宅火災の発生と死者の低減を図る上で有効な対策と考えられます。また、放火防止対策として、自動車やオートバイ等のカバーに防炎製品を使用することも有効といえます。このため、消防庁では、地域の婦人防火クラブ等の自主防災組織と連携し、防炎製品の更なる普及を図ることとしています。

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【図2 防炎製品、非防炎製品の燃焼比較試験】

4 火気使用設備及び器具等の規制

 炉、風呂がま、ストーブ、厨房設備等の火を使用する設備等については、火災の発生に直接の関係を有するため、消防法では設備の位置、構造及び管理の基準など、火災の予防のために必要な事項を政令で定める基準に従い市町村条例に定めることとしています。また、祭礼、縁日、花火大会、展示会その他の多数の者の集合する催しにおいて火災が発生した場合には、初期消火が極めて重要であることから、このような催しにおいて火を使用する器具等を使用する者に対して、消火器を準備した上で使用することを政令で定める基準に従い市町村条例に定めることとしています。

5 防火管理・防災管理の充実強化

消防法では、多数の人を収容する防火対象物の管理について権原を有する者(以下「管理権原者」という。)に対して、自主防火管理体制の中核となる防火管理者を選任し、消火、通報及び避難訓練の実施等を定めた防火管理に係る消防計画の作成等、防火管理上必要な業務を行わせることを義務付けています。

 消防法では、高層建築物(高さ31mを超える建築物)、地下街、準地下街、一定規模以上の特定防火対象物等で、その管理権原が分かれているものについては、各々の管理権原が存する部分ごとに防火管理者を選任して防火管理を実施する一方、建築物全体の防火管理を一体的に行うため、統括防火管理者を協議して定め、防火対象物全体にわたる防火管理に係る消防計画の作成、消火、通報及び避難訓練の実施等を行わせることにより、防火対象物全体の防火安全を図ることを各管理権原者に対して義務付けています。  これは、従来の共同防火管理制度を消防法の一部を改正する法律(平成24年法律第38号)により改正し、統括防火管理者に各防火管理者への指示権を付与することとしたものです。

消防法では、切迫する大地震等の危険に対応するため、平成19年6月の消防法改正により、大規模・高層建築物等の管理権原者に対して、地震災害等に対応した防災管理に係る消防計画の作成、地震発生時に特有な被害事象に関する応急体制や避難の訓練の実施等を担う防災管理者の選任及び火災その他の災害による被害を軽減するために必要な業務等を行う自衛消防組織の設置を義務付けています。

消防法では、防災管理を要する建築物等のうち、管理権原が分かれているものについては、各々の管理権原が存する部分ごとに防災管理者を選任して防災管理を実施する一方、建築物全体の防災管理を一体的に行うため、統括防災管理者を協議して定め、防災管理対象物全体の防火・防災安全を確立することを各管理権原者に対して義務付けています。

6 安心の目印

火災の発生を防止し、火災による被害を軽減するためには、消防機関のみならず防火対象物の関係者が防火対象物の火災予防上の維持管理及び消防法令への適合を図ることが重要です。そのため消防法では、一定の用途、構造等を有する防火対象物の管理権原者に対して、火災の予防に関して専門知識を有する者(以下「防火対象物点検資格者」という。)による点検及び点検結果の消防機関への報告を1年に1回義務付けています。  また、防火対象物定期点検報告が義務付けられた防火対象物のうち、管理を開始してから3年間以上継続しているものは、当該防火対象物の管理権原者の申請に基づく消防機関の行う検査により、消防法令の基準の遵守状況が優良なものとして認定された場合には、3年間点検・報告の義務が免除されます。  なお、防火対象物が防火対象物点検資格者によって点検基準に適合していると認められた場合は「防火基準点検済証」を、消防機関から消防法令の基準の遵守状況が優良なものとして認定された場合は「防火優良認定証」をそれぞれ表示することができます。

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【図3 防火対象物点検の定期点検報告の流れ】

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【図4 防火対象物点検の特例認定の流れ】

 「適マーク制度」は、ホテル・旅館等の関係者からの申請に基づき、消防機関が審査した結果、消防法令のほか、重要な建築構造等に関する基準に適合していると認められた建物に対して、消防機関から表示マークを交付することで、消防法令・建築法令への適合性を利用者に情報提供するものです。  平成26年4月1日から申請・受付を開始し、8月1日から順次、ホテル・旅館等への適マーク掲出が開始されています。  なお、消防庁ホームページにおいて、全国の適マーク交付施設を確認することができます。

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【図5 適マークの申請から交付まで】

7 立入検査と違反是正

消防機関は、火災予防のために必要があるときは、消防法第4条の規定により防火対象物への立入検査を行っています。  立入検査等により消防法令違反を発見した場合、消防長又は消防署長は警告等の改善指導及び命令等を行い、違反状態の是正に努めています。

 「違反対象物の公表制度」は、特定防火対象物で、スプリンクラー設備、屋内消火栓設備又は自動火災報知設備の設置義務があるにもかかわらず未設置であるものについて、市町村等の条例に基づき、市町村のホームページに法令違反の内容等を公表する制度です。消防庁ホームページにおいて全国の市町村における公表制度の実施状況、実施予定時期などを確認することができます。

8 消防用設備等の設置基準

防火対象物の用途、床面積、構造等に応じて、消防用設備等(消火器、スプリンクラー設備、自動火災報知設備等)の設置が義務付けられています。また、これらの消防用設備等が確実に作動して、人命、建物、財産等を火災から守らなければなりません。

このように、高い信頼性が要求される消防用設備等の技術上の規格の研究や立案、検定、表示等に関する事務を行うとともに、最近の技術進歩に対応できるよう様々な研究を行い、技術上の基準の合理化にも取り組んでいます。

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