避難行動要支援者(災害時要援護者)への対応
4.避難行動要支援者名簿の作成

 緊急時に、避難行動要支援者の安全確保を図り、安否の確認、救出・救助、情報提供、避難誘導などを行うためには、まず、支援を必要とする人がどこにいるのかを知っておく必要があります。

1.要配慮者の把握
まず、市町村において、関係部局で把握している要介護高齢者や障害者等の情報を集約するほか、難病患者情報のように市町村で把握していない情報について、関係都道府県知事に対して情報を求める等、積極的に必要情報の取得に努めることが必要です。その際、法令に基づく依頼であることを書面によって明確にしておきます。


2.避難行動要支援者名簿の作成
次に、要配慮者のうち、要介護状態区分や障害支援区分、家族の状況等を考慮して避難行動要支援者の要件を設定し、名簿を作成します。その際、避難能力があるかどうかについては、以下のことに着目して判断します。

・警戒や避難勧告・指示等の災害関係情報の取得能力
・避難そのものの必要性や避難方法等についての判断能力
・避難行動をとる上で必要な身体能力

なお、真に支援が必要な人が対象から漏れないようにするため、避難支援等関係者の判断で名簿掲載を求めることができるようにすることや、名簿から漏れた人が自ら名簿掲載を求めることができるようにすることも必要です。

名簿には、掲載者の氏名、生年月日、性別、住所、電話番号その他の連絡先、避難支援等を必要とする事由、その他必要な事項を掲載します。

また、災害規模等によっては市町村の機能が著しく低下することも考え、クラウドでのデータ管理や都道府県と連携した名簿のバックアップ体制の構築をはじめ、災害時の停電等も考慮し、電子媒体での管理に加え、紙媒体でも最新の情報を保管しておく必要があります。

3.避難行動要支援者名簿の更新と情報の共有
避難行動要支援者の状況は常に変化するため、避難行動要支援者名簿を更新する期間や仕組みをあらかじめ構築しておき、名簿情報を最新の状態に保つことが必要です。また、その情報を、市町村及び避難支援等関係者の間で共有します。

4.避難支援等関係者への事前の名簿情報の提供
いざというときに、円滑・迅速に避難支援がなされるためには、平常時から、避難行動要支援者名簿の情報が避難支援等関係者に提供されていなければなりません。しかしながら、そのためには、避難行動要支援者自身の同意が必要となるため、市町村担当部局が、避難行動要支援者本人に対し、郵送や個別訪問などで直接的に働きかけることが必要となります。その際、避難行動要支援者に対して、名簿情報を提供することの趣旨や内容を説明し、本人の意思確認を行います。同意には口頭、書面を問いませんが、状況に照らし本人が実質的に同意していると判断できることが必要です。

なお、避難支援等関係者が適正な情報管理を図れるよう、市町村は次のような措置を講じることが必要です。

・当該避難行動要支援者を担当する地域の避難支援等関係者に限った提供
・災害対策基本法に基づき、避難支援等関係者個人に守秘義務が課せられていることへの十分な説明
・施錠可能な場所での保管の徹底
・必要以上の複製の禁止
・個人情報の取扱いに関する研修会の開催等

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