N災害 (監修·制作協力:相模原市消防本部、東京消防庁第三消防方面本部消防救助機動部隊)
12.消火活動

 原子力施設などの敷地内は、管理区域、保全区域及び周辺監視区域に分けられています。特に管理区域は、放射線や汚染のレベルに応じて細分化されており、活動時には十分な注意が必要です。
 消火活動を行う場合には、放射性物質の位置、数量、形態及び進入経路や危険物などの所在を確認し、装備品(防護服、呼吸器等)、個人線量計(警報付個人線量計等)を装着し、放射線管理要員の同行のもと、現場指揮本部の十分な被ばく管理を受け実施します。
 部署位置は、放射性物質の放出・飛散、消火残水による汚染を防止するために、風上、高所とします。

 また、中性子線、γ線などの透過力の大きい放射線による被ばくのおそれがある場合には、遮へい効果を有するコンクリート施設、現場にある資機材を活用して、被ばくを防護できる位置を選定します。
 管理区域内での注水は、放射性物質の飛散を招くおそれがあるため、水を使用しない消火方法について考慮することが必要です。
 しかし、火災状況から止むを得ず注水する場合は、極力棒状注水などによる直接の注水を避け、噴霧注水などで行い、必要最小限の水量とします。
 また、消火活動中の水は、放射性物質などで汚染されている可能性があるため、極力隊員に掛からないようにするとともに、施設側の放射性管理排水系統に流れるようにすることが重要です。
 さらに、開口部の破壊は、大量の燃焼生成ガスや煙による汚染拡大のおそれがあることにも十分留意します。
 管理区域など関係施設周辺の火災に対する消火活動では、関係施設への延焼防止を最優先とします。
 鎮圧後の残火処理は、放射線測定を実施しながら短時間で行い、周囲の物品などには必要以上に触れないなど、汚染防止を図ることが重要です。

続きを読む