防火対象物における火災の予防 (監修·制作協力:仙台市消防局)
7.個別の安全対策の概要

火気使用設備・器具等(消防法第9条)
 出火源となるおそれのある設備・器具(厨房設備、ストーブなど)について、出火防止の観点から、位置、構造、管理などに関する基準が設けられています。

防炎対象物品の防炎性能(消防法第8条の3
 高層建築物、地下街、不特定多数の者や要配慮者の利用を主眼とする施設においては、急激な延焼の媒体となるおそれのあるカーテン、じゅうたんなどの「防炎対象物品」は、着火・延焼防止の観点から、「防炎性能」を有するものでなければなりません。
 なお、内装品などのうち、壁・天井の壁紙などについては、建築基準法による内装制限の対象となっており、両法で補完的に措置が講じられる仕組みとなっています。


火の使用・危険物品の持込みに関する制限(火災予防条例(例)第23条)
 人命の危険性の大きい不特定多数の者の利用施設、かけがえのない国民的財産である重要文化財などにおいては、出火及び急激な延焼を防止する観点から、喫煙、裸火の使用、火災予防上危険な物品の持込みが制限されています。

避難施設等の管理(消防法第8条の24火災予防条例(例)第5章)
 避難経路の不適切な管理により、人的被害の拡大を招く事例が多いことから、避難安全及び延焼防止の実効性を確保するため、避難経路の適正な管理について、特に規定が設けられています。
 防火対象物の管理権原者は、廊下、階段、避難口その他の避難上必要な施設及び防火戸の機能を確保するため、避難や戸の閉鎖の支障となる物件が放置され、又はみだりに存置されないように管理しなければなりません。
 劇場、百貨店など、不特定多数の者が密集している施設においては、避難通路の幅の確保、周囲の収容物の配置なども規定されています。

消防用設備等(消防法第4章)
 防火対象物の所有者、管理者又は占有者(以下「関係者」という。)は、その用途、規模、構造、収容人員等に応じ、火災時の応急措置に必要な「消防用設備等」を設置・維持しなければなりません。
 「消防用設備等」の基本性能は、初期拡大抑制、避難安全支援、消防活動支援です。

消防用設備等の種類(PDF)

 これらの基本性能を確保するため、消防用設備等の種類ごとに設置・維持に関する技術基準が定められているほか、特に重要な事項については、資格者(消防設備士、消防設備点検資格者等)による施工・メンテナンス、構成機器などに係る検定などが規定されています。

 消火設備は、火災の初期段階における消火を主眼とするものです。消火器、屋内消火栓設備、スプリンクラー設備などがあります。

 警報設備は、火災の発生を報知するためのものです。在館者を対象とする自動火災報知設備、非常警報設備等のほか、消防機関へ通報する火災報知設備などがあります。

 避難設備のうち、避難器具は、建築構造的に確保されている主たる避難経路が寸断、避難遅れが懸念される場合などに非常脱出経路を確保するためのものであり、避難はしご、緩降機などがあります。また、避難経路を表示するものとして、誘導灯、誘導標識があります。

 消防用水は、大規模な防火対象物に係る消防水利を確保するためのものです。防火水槽、貯水池などがあります。

 消火活動上必要な施設は、公設消防の消防活動支援を行うためのものです。連結送水管、排煙設備などがあります。

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