南海トラフ巨大地震·首都直下地震対策
2.被害想定

 南海トラフ巨大地震については、内閣府に設置されている「南海トラフの巨大地震モデル検討会」が被害想定を行っています。それによると、従来の経験的手法及び直近の知見による強震波形手法を用いて、4箇所の地点を震源としてマグニチュード9.0の地震の発生を想定した場合、神奈川県の西部から宮崎県にかけての広い範囲で震度6弱以上、静岡県、愛知県、三重県、兵庫県、和歌山県、徳島県、香川県、愛媛県、高知県、宮崎県では最大で震度7になるという結果が報告されています。
 また、津波についても、様々なケースを想定して各地の最大津波高を予測した結果、愛知県と高知県の一部地域で30mを超えるとの結果が報告されています。

この予測結果によると、津波の被害が発生する地域は、駿河湾域から四国の内陸側にまで及びます。津波の動きについては、まず地震の発生と同時に津波が来襲し、次にトラフ軸近くの超大すべり域で発生した特に大きな津波が押し寄せてくることとなります。この特に大きな津波は、トラフ軸に近い駿河湾では、わずか数分で襲来し、高さは5mを超えると想定されています。また、高知県のようにトラフ軸から少し離れた場所では5mから10mを超える大きな津波が地震発生から20分から30分後に襲来すると想定されています。伊勢湾や大阪湾奥への津波の襲来はさらに時間を要し、1時間から1時間半程度後となると想定されています。
 南海トラフ周辺の各震源地で発生した津波は、互いに重なり合い、更にそれらが海岸で反射しながら各地域の海岸に何度も押し寄せます。第1波だけでなく、その後も、5、6時間から半日程度は繰り返し大きな津波が襲来することが想定されており、地震発生後しばらくの間は強い警戒が必要になります。

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