土砂災害対策(監修:岩松暉 鹿児島大学名誉教授)
4.がけ崩れ(崩壊)

がけ崩れ・山崩れは地質の如何に関わらず急斜面で起きます。とは言っても、花崗岩の風化したマサや、シラスのような火砕流堆積物が分布するところでは、頻繁に発生します。鹿児島はシラス地帯ですから、かなり頻繁に死者を出すような大災害が発生します。この写真は、西南戦争で西郷隆盛が立て籠もったところとして有名な、鹿児島市の城山で起きたシラス災害です。
がけ崩れは表層の風化土層が急速に滑り落ちる現象ですので、崩れ始めてからではとても逃げ切れません。何よりも崩れる前に避難することが肝心です。そのためには、事前に危険箇所を調べておき、ハザードマップを整備しておかなければなりません。危険地に住んでいる人は、梅雨や台風の時期には、雨の降り具合に注意してください。円筒型のコップを外に出して、自分で雨量観測をすることも効果的でしょう。

テレビの音が大きいと雨音などに気づきませんから、観測するという気持ちを持つことだけで、降雨状況に注意を払うようになるからです。また、豪雨をもたらす濃密な雨雲(豪雨セル)のスケールは大変小さく、気象台の観測網は粗すぎるということも理由の一つです。実際、この写真のシラス災害のとき、現場では300mmを超す大雨でしたが、気象台での観測値は195mm、アメダスに至ってはたったの1mmでした。役場の避難勧告・指示を待っていては手遅れ、という事態だって起こり得るのです。

続きを読む