土砂災害対策(監修:岩松暉 鹿児島大学名誉教授)
18.働き手を育てる

行政やコンサルタントが陰から支えたにしても、防災会は住民自身で組織するわけです。では、こうした働き手はどこから生まれたのでしょう。実は市主催の防災まちづくり学校が毎年開かれ、20年かけて育て上げてきたのです。毎月1回計12回受講すると認定証が発行されます。受講者には子育ての終わった中年主婦や定年後の熟年男性が多いそうです。これら受講者を中心に市民防災推進委員会が結成されています。
なお、手押しポンプの井戸は「昔の井戸」と呼ばれ、そこでときどき井戸端会議をやるといった独創的な活動も行っています。
国分寺市の先進的な例は、行政が黒子に徹して、住民を育て陰から支えたことが、一番教訓的でしょう。行政の末端組織として位置づけ、下請けにするのではなく、自発性に基づいた住民の活動。まさに今はボランティアの時代なのです。

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