土砂災害対策(監修:岩松暉 鹿児島大学名誉教授)
14.がけ崩れの予測

がけ崩れは裏山が崩れてくるので、前兆に気付いたときにはもはや手遅れで逃げ切れないことがままあります。ここが地すべりや土石流と違う点です。
そこで、どこが危ないかを事前に見分けておくことが重要になります。先ほども申し上げましたように、風化土層が厚く、水の集中しやすい谷型斜面が危ないところです。しかし、表土の厚さは、外から眺めただけではわかりません。これは実際にモデルフィールドで表土の厚さを調べた例です。樹齢が70~80年の常緑広葉樹が分布しているところと表土の厚いところがほぼ一致しています。ここがそろそろ危険なところなのです。みなさんは、緑豊かに大木が繁っているところは安全で、地面がむき出しになったところは危険だと思っておられたのではないでしょうか。実は常識と逆だったのです。

もちろん、がけ崩れにも前兆現象はあります。がけの頭部に亀裂が入ったり、がけから小石がパラパラと落ちてきたり、水が噴き出してきたりすることがあります。こんなときには一刻も早く逃げ出さなければなりません。音が聞こえてくるようなら、もう最終段階です。

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